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  No.30  2022.5

●主な内容

  1. 北のアルプ美術館 開館30周年記念事業
  2. 嬉しい出会いとボランティア <工藤 和男>
  3. 『小さな美術館、大きな宇宙』展について <松浦 葵>
  4. 記憶を辿って〜美術館を構成するもの <小笠原 忍>
  5. 一年間の出来事 2021年
  6. ボランティア活動リポート
  7. ご寄贈ありがとうございました
  8. おしらせ
  9. 編集後記

北のアルプ美術館 開館30周年記念事業


【企画展のご案内】

 1992年6月に開館した北のアルプ美術館は30周年を迎えます。30周年記念として、3つの企画展を開催いたします。


@山の文芸誌「アルプ」300号展  2022年6月1日(水)〜

「アルプ」は、1958年に哲学者で詩人の串田孫一が中心となり、創文社によって創刊され、25年後の1983年に300号をもって終刊した山の文芸誌です。装丁はほとんど変わらず、表紙 は山をモチーフにした素朴な 版画 があしらわれました。

「アルプ」全300冊を展示し、表紙を中心に原画や掲載カットなどを公開します。原画と見比べながらお楽しみください。
 


A尾崎喜八 生誕130年展 2022年6月1日(水)〜12月18日(日)

 山と自然とクラシック音楽を愛した詩人の尾崎喜八は、文芸誌「アルプ」の創刊から参加し、多くの詩文が誌上を飾りました。「アルプ」の誌名は尾崎喜八の命名。

本展では、生誕130年を記念し、直筆原稿をはじめとする書簡、写真、関連資料などをご紹介します。


B北のアルプ美術館30年の歩み展 2022年11月30(水)〜

美術館の30年の歩みを振り返るとともに、創立者・山崎猛の足跡も併せて展示します。
 


【記念事業】


◆アルプの夕べ 2022年8月11日 ( 木 ) 山の日開催

美術館のアルプの森にて交流会を企画しております。お楽しみに !!
   


◆ 30 周年記念誌 2023年3月発行(販売予定)

北のアルプ美術館の歩んできた時間を記録として残します。
  

 詳細が決まり次第、ホームページやツイッターなどを通じて、改めてお知らせいたします。

 

 

嬉しい出会いとボランティア < 工藤 和男 >

 
 

大谷一良 絵葉書より
「斜里岳」

  幼少の心に刻まれた原風景の雄大な斜里岳。定年退職後、故郷のその麓に憩うために、7年前から清里で半年、京都で半年の暮らしが始まりました。

 でもそんな景色を求めて移住したくせに、旅に出た先では風景よりは人々の営み、歴史、文化のほうに心惹かれ、もっぱら旧跡や寺院、資料館、博物館、美術館などを巡ってしまいます。ですから、北のアルプ美術館との出会いはとても嬉しいものでした。白樺林に囲まれた瀟洒な佇まい、コンパクトな展示の豊かな空間、それはまさに串田さんの広範で奥深い精神を象徴するような宝箱です。もちろん、遠くから友人たちが訪ねて来ると必ず、なぜか自慢顔で案内したものです。

 そのように何回も通い、コーヒーまでいただきながら、ボランティア募集に気づいたのはようやく4年前でした。連れ合いと二人で、月に2、3回2時間ほどの館の周囲と庭の草取りにやって来ます。昨年は部屋のリフォームで床張りも引き受けました。少しだけお返しができたかな。今年は創立30年を迎える庭の手入れをします。

 実は今、あの佇まいに憧れて清里の我家にも小さな林を作ろうと白樺を植えています。暖簾分けで(?)幾本か苗木も花の苗もいただきました。ありがとうございます。

《清里町/元教員》

 

 

『ちいさな美術館、おおきな宇宙』展について < 松浦 葵 >

 
 北網圏北見文化センターでは、令和3年の夏に美術企画展『ちいさな美術館、おおきな宇宙 ―北のアルプ美術館所蔵作品展―』を開催いたしました。

 数年前に初めて山崎猛前館長にお会いしたときのやわらかな笑顔と、「お互いの所蔵品を交換した展示も面白そうだね」という言葉が、私の心の中にずっとありました。次年度事業案を練っているとき、山や自然を題材とした北のアルプ美術館所蔵作品の数々と、それらを集め大切にしてきた山崎前館長のご功績を当館で紹介してみたいという気持ちが強く湧いてきました。

展覧会チラシ

 ただ、北のアルプ美術館の作品は、あの山小屋風の建物でこそ素敵に見えるのであり、当館でも同じく輝くのだろうか?という心配がありました。しかし、それは杞憂に過ぎ、お借りした71点の作品はみずみずしく北見の展示室を彩ることとなります。

 雑誌『アルプ』の原稿や挿絵、その他の作品のひとつひとつは小さな星に過ぎませんが、“おおきな宇宙”を形成しています。そして、その星々の並びを線でむすび名前をつけたのは、この“ちいさな美術館”をつくり守ってきた山崎前館長なのではないか、と私は考えます。ユニークな“ちいさな美術館”と、作品がなす“おおきな宇宙”とをご紹介する機会に恵まれたことは、大変ありがたく、また意義深い経験となりました。

 開催にあたり、館長の山崎様、上美谷様、村田様には多大なるご協力を賜りました。この場をお借りし、改めて深く感謝を申し上げます。

《北見市/北網圏北見文化センター 学芸員》


 

記憶を辿って〜美術館を構成するもの  < 小笠原 忍 >


 父にまつわる私の一番古い記憶は、書斎の香りと部屋から流れるジャズの音楽。本とレコードが詰まった書斎は、父の気配を感じるけれど、家族にとっては立ち入れない特別な場所だった。そこには、カメラとフィルム、削りたての鉛筆、古本などの匂いが混じり合った独特の香りが充満していた。陽が差す部屋の奥から、暖められた空気と共に、柔らかなビブラフォンの木の響きと、その香りが廊下に流れてくる。

 書斎とは別に、廊下におかれた本棚にアルプ全巻が並んでいた。書斎にあれば目にすることがなかったかも知れないが、家族共用の場所である廊下に本棚があったので、何度か頁を開いたことがある。同じ本棚に収められていた色鮮やかで光沢のある派手なカメラ雑誌や図鑑とは異なり、物静かな佇まいで手触りの良い冊子。凛とした姿勢の良い活字と、リズム感のある挿絵。棚の一番上の段に、号数順に整頓されていたので、父が大切にしている本だと理解できた。

 30年前、私が初めて美術館に入った時、子どもの頃に生活の中で感じていたこれらの断片で構成されていると感じた。美術館に流れる音楽、あの書斎の香り、アルプを開いて広がる世界を味わうかのような展示室。父の頭の中のイメージのまま、ある意味純粋にコレクションされていて、愛情たっぷりに並んでいる。人間味を帯びたこの雰囲気が、北のアルプ美術館の魅力のひとつなのかもしれない。

 父はもういないけれど、美術館の奥に父の気配を感じるような美術館を保っていければと思っている。

《釧路市/ NPO 法人 こども遊学館市民ステージ事務局長》

 

 

一年間の出来事 2021年

 

7/17 〜 8/22 北網圏北見文化センター美術企画展

『ちいさな美術館、おおきな宇宙』 ―北のアルプ美術館所蔵作品展―

 北見市にある北網圏北見文化センターの美術企画展として「ちいさな美術館、おおきな宇宙」を開催していただきました。作品を通して雑誌「アルプ」や当館のあゆみをより多くの方々に知ってもらう良い機会となりました。会期中ご観覧いただいた方、そして講演会に参加して下さった皆様ありがとうございました。

 

 

7/31 『本と音〜世界一静かなリリースパーティ〜』

 読書と音楽を組み合わせた読書会イベントを開催しました。第1部は、普段立ち入ることができない「串田孫一の居間」を特別に開放し、蔵書を読みながら、読書の邪魔にならない音楽と共に楽しみました。第2部は、おすすめの本を持ち寄って紹介し合う「ブックトーク」を行いました。

【共催: Airda( エアダ ) ・流氷文庫シリエトク】

 

 

 

10/15〜31 『しれとこハロウィンの森?北のアルプ美術館』

 朝日小学校4年生が育てたカボチャや製作物をアルプの森に飾りつけました。期間中は 親子連れや 子どもたちの声で賑やかな 楽しいハロウィンの森でした。

【主催:しれとこハロウィン実行委員会】

 

 

ボランティア活動リポート


 【リフォーム】

  ボランティアの工藤さんは、定期的に美術館敷地内の草取りをしていただいていますが、日曜大工もお手の物。使用していなかった和室の古い畳を撤去し、フローリングに張り替えていただきました。明るく快適な作業部屋に生まれ変わりました。

 

 

【年末大掃除】

  ボランティアの方々に集まっていただき大掃除を行いました。美術館と山岳文庫を 念入りに掃除。その後、外回りの落ち葉や 枝を拾い集め、開始から3時間ほどで作業は終了。とても綺麗になりました。

 

 

【草取り】

  大学生の上條さんは、初めて美術館を訪れた際、活動に興味を持ちボランティア登録をされました。庭の草取りや年末大掃除に参加いただきました。若い方が 活躍してくれて大変嬉しく思います 。

 

 

ご自身の好きな分野でボランティア活動に参加しませんか ?

 当館では、活動のサポートをしてくださるボランティアの方を随時募集しています。男女問わず、一日だけのお手伝いでもOK! 初心者の方も大歓迎です。収蔵品リスト作成や データ入力など様々な活動がありますので、 関心のある方は当館までお気軽にお電話下さい。お待ちしています。
 

 

 

ご寄贈ありがとうございました (順不同・敬称略)


萩生田浩・佐伯雅視・横田志帆・田中清光・藤島正人・岡田朝雄・八木雅英 ・伊藤彰浩・伊藤かおり・花島徳夫・水越 武・兜驍轤オの手帖社・鰍f.B.・鰍ヲんれいしゃ・ソーゴー印刷潟Xロウ編集部・斜里町立知床博物館

▲▲ その他各地の美術館、博物館より資料や印刷物等をお送りいただきました。

 

◆アルプ基金・寄付金報告− 2021年4月1日〜2022年3月31日

254,539円となっております。

  ご協力、ご支援に心より感謝とお礼を申し上げます。

 

 

お知らせ

アルプ作家で画家の熊谷榧さんが2月24日にご逝去されました。小誌「緑風19」に執筆していただくなど当館とも交流がありました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

▲ 2022年12月19日(月)〜 2023年2月28日(火)まで冬期閉館します。

 

 

編集後記


 

エゾリス(3/10)

▲ アルプの森は、前館長が手植えで育ててから長い年月が経ち、枝が繁る季節には夏鳥達がやって来て子育てをし、秋にはエゾリスが餌あつめに走り回り、冬にはシマエナガの群れが飛び回る小さな楽園になりました。しかし、最初に植えた頃の木々は老木になって強風に倒れるようになり、風が強かった今年の冬、雪が融けた林の中には沢山の小枝が落ちています。背の高い白樺の木も根元から折れ横たわっていました。今は20周年記念や後に植えた木々が枝を拡げて林の主役に代わりつつあります。人も自然もバトンを渡しながら繋げている事を実感しています。(山崎)

▲ これまで当館とご縁のあった方々に小誌「緑風」に寄稿していただいております。最近では多くの方がパソコンで原稿データを送付してくださるので、手書き原稿を打ち直す必要がなく、後の作業がスムーズに進みます。30号までスタイルを変えずに発行してきた「緑風」ですが、次号からリニューアルして皆様の元へお届けする予定です。(上美谷)

 

  No.30 2022年5月発行(年1回)
 編 集:山崎千寿子/上美谷和代/村田良介  題 字:横田ヒロ子
 発 行:一般社団法人 北のアルプ美術館
 〒099−4114 北海道斜里郡斜里町朝日町11−2
 TEL O152−23−4000 / FAX 0152-23−4007
 http://www.alp-museum.org  メールアドレス:mail@alp-museum.org

 

 

 

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