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  No.9  2001.6

●主な内容

  1. 北のアルプ美術館と共に歩む道(リポート)
  2. 一年間の出来事 季節の便り 2000.6〜2001.5
  3. ご寄贈ありがとうございました
  4. 「アルプ」の作家たち展 −イン上高地
  5. 畦地梅太郎ギャラリー「あとりえ・う」オープン
  6. 新刊書のご紹介
  7. 北のアルプ美術館ホームページ ただいま準備中
  8. 美術館敷地内に小さな工房がオープン
  9. 美術館周辺の環境整備も着々と
  10. 感想文集
  11. 入館者の記録・編集後記

北のアルプ美術館と共に歩む道

 2001年1月29日、当館長・山崎猛が日本山岳会図書委員会「山岳図書を語る夕べ」に招かれ、アルプへの想いや当館の設立経緯、美術館の将来などについてお話させていただきました。

 アルプに出会ってから現在まで・・・アルプから恩恵を受けたもの、人生の道しるべとしてアルプから自分が得たものを皆さんに聞いていただければ幸いです、と始まった情熱あふれる講演。
 山崎氏は昭和12年、道南生まれ。成人の年にアルプ創刊号に出会い、自分の人生の方向転換ができた。自分の先生は書物で、アルプで育ったような気がしています、と語る。
 昭和41年に自ら事務機の会社を興し、昭和45年頃には美術館構想が頭の中に描かれていたが、それは知床に関わった作品を集めた美術館というものであった。その後、アルプが昭和58年終刊を迎えたとき、山崎氏はアルプに再度引き寄せられる。アルプを残すべきであり、アルプの精神・思想やアルプが語り伝えたものを次の世に伝える責任が自分にある、という自信と期待が生まれた。
 それからは串田孫一先生、アルプ編集長だった大洞正典氏などに相談、場所についてはアルプの種が斜里の土壌に芽を出すかどうかを考えながら探した。そして、旧三井農林の酪農工場跡地に、平成4年6月13日に北のアルプ美術館を開館した。
 個人の夢は家族の夢に、家族の夢は地域の夢にならなくてはならない。アルプの財産は公的なもの、自分は管理するだけ、を美術館の基本とし、また、美術館に寄せられた文章や作品が憲法で、美術館を護るためには、この血液を汚すことはできないと考える。
 開館後もアルプに通じる精神で運営、活動を続け、美術館に来られた人々からも、多くの蔵書や資料を寄贈していただいた。美術館は斜里の環境にも助けられている。山登りの人だけでなく、地域に開かれた美術館にしたいとも考えている。21世紀にアルプを残せたのが自分の財産で、21世紀にどう伝えてゆくかが将来的な課題、と語った。
 講演後の懇談の中で、「アルプ美術館ができたおかげで、山に対する謙虚な心が語り伝えられてゆく確信もあります」と述べた。

−日本山岳会会報<2001年5月号>図書委員会報告(三栖寿生)より抜粋−

一年間の出来事 季節の便り 2000.6〜2001.5

2000. 7.29 知床国立公園カムイワッカ方面
      自動車の通行規制始まる(〜8.20)
   8.16 美術館のハマナスの中に色づいた実を1個発見
   8.20 林の中のナナカマドの葉も実も色づき始める
   9.27 雪化粧きらら!旭岳に初雪
   10.10 山崎猛写真集『日本の灯台』刊行
   11. 8 知床平地部で初雪
   12.14 厳しい冷え込み、道東で氷点下22.3度を記録
   12.17 年末年始休館(〜2001.1.9)
2001. 1. 8 例年よりも24日早く流氷が網走に接岸
   3.15 オホーツク海明け(網走)
   4.20 寒い春、クロッカスを打つ春の雨はいつしか雪に
   4.22 入館者18,000人を突破
   5. 6 美術館の山桜が咲き始める

■ご寄贈ありがとうございました


▲寄贈品・かんじき

 心より御礼申し上げます(順不同・敬称略)

阿部正恒/有田忠郎/川添英一/田中清光/宮崎万平/田中良/加藤建亜/串田孫−/伊藤健次/岩見禮花/山室眞二/田村宏/高橋清/大谷一良/笠原貞行/畦地康恵/小川隆史/笠島克彦/大洞正典/西信博/手塚宗求/今野淳子/津田清子/三宅修/森井書店/尾崎喜八研究会/大阪芸術大学文芸学科合同研究室
・全国の博物館、美術館から資料や印刷物等をお送りいただきました。
  ありがとうございました。

 

■「アルプ」の作家たち展 −イン上高地

 昨年、名古屋市のギャラリー大地にて開催され、好評を博した「アルプ」の作家たち展が、今年は長野県上高地の上高地温泉ホテルにて開催されます(会期:6月1日〜30日/入場無料)。
会場には、アルプを彩った14名の作家による70点もの作品が展示。昨年同様、「アルプ展記念のつどい」が予定されており、三宅修氏と大谷一息氏を迎えての講演会が行なわれます。
 アルプとゆかりの深い日本アルプスの地に、アルプの作品と、アルピニストが集う展覧会です。
 お問い合わせ先/TELO263−9
5−2311上高地温泉ホテル栗山さん

 

■畦地梅太郎ギャラリー「あとりえ・う」オープン


▲緑に囲まれたアプローチを抜けてアトリエの入り口へ

 アルプを飾った作品が生まれた空間で、山男と再会−。
 山の木版画家・畦地梅太郎氏が、生前使用していた東京都町田市鶴川のアトリエの一部が、この度ギャラリーとして、6月1日よりオープンします。山男の木版画をはじめとして、貴重な作品と道具などが展示されます。

「あとりえ・う」
〒195−0061東京都町田市鶴川1-13−12
TELO42−734−8586/FAXO42−734−8187/小田急線鶴川駅下車徒歩8分

 

■新刊書のご紹介


▲本を開いて山をめぐる人々に出会うひととき

「若き日の山」 串田孫一
     山と渓谷社¥1,600
−山の文学に深みをあたえ、新しい視野をひらいた不朽の名作

「心象の山々 山の版画と断章」大谷一良
 
   恒文社¥1,890
−山に心遊ばせる愉しみと悦び

「山をめぐる人と書物」 手塚宗求
     恒文社¥1,800
−霧ヶ峰に集いし人々、心に響くもうひとつの山小屋物語

「本のある山旅」 大森久雄
   
 山と渓谷社¥1,800
−山と本と人に注ぐ愛情と、あふれ出る登山の悦び

■北のアルプ美術館ホームページ ただいま準備中

 以前より開設のご要望を多数いただいておりました、当館のインターネットホームページ。いよいよ作成準備に取りかかりました。インターネットを通じて、最新の美術館情報を、いつでもお届けできるようにしたいと考えております。
 まだ当館を訪れたことのない方、これから訪れる予定のある方、またいつかは訪れたいと考えて下さっている方、いずれの方々にも喜んでいただけるような情報を掲載する予定でおります。ミュージアムグッズや、当館で販売しております
関連書籍も、こちらのホームページから簡単にご注文いただけるような形を作りたいと考えております。どうぞお楽しみに。

■美術館敷地内に小さな工房がオープン

ふらりと「風来里」を訪ねて、素朴な作品に触れるひとときを
 今年3月、北のアルプ美術館敷地内に、竹籠工房「風来里(ふらり)」がオープンしました。工房主の大島千寿子さんは、主に別府の自竹や四国の虎竹などの素材を用いた花籠や茶道具、バックなどの製作をされています。見学希望者の方は、毎週火曜日にオープンしておりますので、事前にご連絡の上、どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。
(連絡先:01522−3−0000/大島まで)

■美術館周辺の環境整備も着々と

 老朽化が目立っておりました美術館敷地を囲うフェンス(西側80m東側25mの計105m)が、この度改修工事を終え、新しい姿となりました。美術館前にはミニプランター、南東角の看板前には小さな花壇が出来、季節の花々で皆様をお迎えしております。
北海道の短い花の季節。その間、美術館を彩ってくれる小さな脇役たちです。白樺林のベンチは、今年も山の旅人を静かに待っています。

感想文集


入館者の記録・編集後記

編集後記◆今年も長い冬がやっと終わったかと思えば、もう緑風の季節/北海道の春は駆け足で過ぎていきます/只今、当館は夏に向けてお色直しの真っ最中/外装の塗替え工事を行っております/私事ですが、昨年11月に結婚いたしまして名字が山崎から小笠原になりました/非常勤となりましたが、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます(S)

  No.9 2001年6月発行(年1回)
  編 集:山崎 猛/小笠原忍/中村恭子 カット:桜井あけみ
                     発 行:北のアルプ美術館
  〒099−4114 北海道斜里郡斜里町朝日町11−2
  TEL O1522−3−4000/FAX3−4007

 

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