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  No.8  2000.6

●主な内容

  1. 八年目の新緑の季節に
  2. 一年間の出来事 1999.6〜2000.5
  3. ご寄贈ありがとうございました
  4. 「アルプ」の作家たち展 −名古屋市にて開催
  5. 洋画家・吉井忠さんご逝去
  6. はじめまして!当館の新しい職員です
  7. 美術館オリジナルMAPが出来ました
  8. ミュージアムグッズの地方発走承ります
  9. 感想文集
  10. 入館者の記録・編集後記

八年目の新緑の季節に

 2000年6月で8周年を迎えた北のアルプ美術館。この8年間に歩んできた道程、出会ってきた多くの人と心の交流を思いめぐらせたとき、改めて「アルプ」を開いてみたくなりました。創刊から8年目の6月、その「アルプ」の姿はどんなだったろうと、本棚から何気なく背表紙を引いた一冊は、1966年の6月号。それは奇しくも記念すべき100号日を迎えた「アルプ」でした。
 手にとった100号。記念の号だからと華美に表紙を飾り立てたりしないところは、創刊から8年間に培い守られてきた「アルプ」のスタイルなのでしょう。少し日に焼けたその本を開いているところに、開館8周年を祝う一通のお便りが届きました。

「時」をめぐる「アルプ」

 夏至も近い6月に「アルプ」の100号記念特集(1996年6月の発行)を読みました。いつもよりもページの厚い特集号には多くの方々の文章が掲載されていました。山に対しての想い、心、自分、追憶、が丁寧に書き連ねられた文章を読み進みながら、真剣で誠実な生き方をする人々の横顔が見えてきました。
 数え切れないほど増えている出版物。かつてなかったようなおびただしい文章が様々な形で生活を取り巻いているなかで、評論ではなく、情報ではなく、分析ではなく‥・「心」を伝えてくれる文章に巡り会うことは、なかなか出来なくなってしまったと思います。何が変わってしまったのでしょう?早朝に冷たい空気を感じる時、夜に空を仰ぎ見る静寂の時、影法師が日なたに伸びる時、そんな「時」を忘れがち。
 かつて、憧れた山頂を踏みしめ「下りたくない‥」と下山道で幾度も後ろを振り向きながら地団駄を踏んだ自分。車窓からさっきまで自分が立っていた山頂を仰ぎながら、手には時刻表を開き次の山行に思いを描く自分。ふと、あわただしく過ぎてゆく生活の中で忘れていた時間。青春時代に巡り会った「アルプ」は途切れることなく今につながります。そんな確信を持ちながら100号のページを閉じました。
 1966年6月発行は私がちょうど10才の時。(何を考え何をしていたのかしら?)「もっと早くアルプに巡り会いたかった」悔しがっていた18才の自分もあれから二十数年。新たな出逢いが北の地から始まり8年。
 忘れがちな「時」をもらいに訪ねる「北のアルプ美術館」はいつも変わることなく心地よい空間です。「アルプ」の紡いできた「時」にここを訪れた人たちはどんな色の糸をつないでゆくのでしょう?

 桜井 あけみ(主婦・斜里町ウトロ在住)

 時の流れに振り動かされることない、「アルプ」に宿った不変の精神。それは、現代に生きる私たちに対して、失いかけていた何かを敢えてくれる存在であり、常に新鮮な感動を与え続けています。だからこそ、いまだ私たちを惹き付け、魅了してやまないのかもしれません。
 1958年に創刊された「アルプ」は、すでに終刊して17年の長い時を経ていますが、今なお多くの人々の心に生き続けている精神と共に、北のアルプ美術館はこの8年間を歩んできました。これからも脈々とその精神を受け継ぎ、多くの人に伝え続けていきたいと考えています。いつもここには「アルプ」が在る、という安心感を提供する場としても−。

一年間の出来事  1999.6〜2000.5

1999. 7.21 フルートとハープの夕べを開催
      −ゆめホール知床ホワイエが美しい調べに包まれました
   7.31 暑い!!網走で35.5度を記録
      −猛暑の為、当館の冷房も毎日運転していました
   9.27 旭岳が初冠雪一平年より4日遅く
   10. 9 羅臼岳・斜里岳初雪
   10.12 涛沸湖にオオハクチョウ26羽・第一陣飛来
   10.18 知床平地部で初霜・初氷
   10.25 美術館前の銀杏の葉が散る
2000. 1.13 流氷接近−紋別沖100キロで確認
   1.18 流氷初日−網走海岸から肉眼で確認
   1.23 占冠で氷点下30.4度を記録
   1.27 流氷接岸
   3.24 オホーツク海明け−網走
   4. 7 入館者17,000人を突破
   4.20 美術館前のクロッカス咲く

■ご寄贈ありがとうございました

心より御礼申し上げます(順不同・敬称略)

大澤輝幸/四ツ釜信一/後藤実/安田信子/有田忠郎
内田康男/末弘寿美/関根正行/−原正明/笠間恵子
津田清子/小川隆史/山田登美子/大高慶子/熊谷榧
川添英一/岩見禮花/田中良/畦地美江子/富沢裕子
中原佳雄/一原有徳/山室眞二/小笠原耕四郎/津田清子
尾崎喜八研究会/(株)ポカラ出版/(株)創文社
(株)平凡社/コスモ石油(株)
※全国の博物館、美術館から資料や印刷物等をお送り
 いただきました。ありがとうございました。

■「アルプ」の作家たち展 −名古屋市にて開催


▲山の眞の美しさを思い浮かべて…/同展に寄せられた串田氏の言葉より

 「アルプ」の誌上を飾った作品たちが、名古屋市のギャラリー大地に集まりました(会期:2000年6月3日〜7月2日まで)。串田孫一氏の作品をはじめ、75点もの作品を一同に展示。初日には、大谷一息氏と中村朋裕氏を迎えて「山と芸術(アルプ)について」というテーマの講演会も開かれました。「アルプ」の同窓会を思わせるこの展覧会で、懐かしい思い出と触れ合ったアルピニストも多いのではないでしょうか。
 松戸市の田村宏様から、会場の和やかな雰囲気が伝わるスナップアルバムが届きました。

■洋画家・吉井忠さんご逝去


▲吉井忠像/西常雄(当館収蔵作品)

 1999年8月5日、洋画家の吉井忠さん(91)がお亡くなりになりました。太平洋美術研究会を経て、主体美術協会の創立に参加。「民芸論」や「生活芸術」などの名著とともに、多くの子どもから愛された絵本の挿し絵も遺されています。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

■はじめまして!当館の新しい職員です


▲私たちが皆様をお迎えいたします。 山崎忍・中村恭子

 今年4月より、新しくパート職員として入りました中村恭子が勤務しております。明るく元気な笑顔で、お客様をお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

美術館オリジナルMAPが出来ました

 ゆっくり斜里を歩いてみよう−

 「今、斜里の○○にいるのですが、ここから美術館へはどう行ったらいいですか?」「美術館から○○へは、車でどのくらいかかりますか?」
 −お客様からこのようなご質問が多く寄せられます。斜里の市街地の道は入り組んでいて、住んでいる者でも間違えるほど分かりにくく、また小さな町なので目印になるような大きな建物が少ないのです。そのため、お客様に訪ねられた道を正確にお教えするのには、以前より少々苦労しておりました。何より当館が町の真ん中ではなく、この少し外れた住宅街の中にあるというのが、来館者泣かせなのですが・・・。
 そこで、当館では手作りのオリジナル地図を作成しました。館内にて無料で配布しております。車で来館される方にはもちろん、JR知床斜里駅から歩いて来館される方にも分かりやすいように工夫してみました。斜里町内の施設や見どころ、飲食店の紹介なども掲載していますので、簡単な斜里のガイドとしても利用していただけると思います。
 現在のところ、まだこの地図は発展途上形です。これからも皆様のご質問やご意見から、より便利な地図に変化させていくつもりです。
 「美術館を訪ねる時に手元に欲しい」というお客様には、郵送いたします。電話、ファックス、ハガキなどでお申し付け下さい。

ミュージアムグッズの地方発送承ります

 当館で販売しておりますミュージアムグッズが、おかげさまでご好評いただいております。まだ当館を訪れたことがないとおっしゃるお客様からもお電話をいただき、遠くてすぐには訪ねられないので、せめて館内で販売している絵葉書セットを発送して欲しい、といううれしいご注文も度々賜りました。
 人気の絵葉書セットをはじめとした当館の販売品を簡単にまとめた案内パンフレットもございます。ご連絡いただければ、郵送いたします(無料)。
 ご遠方の方には、商品の発送も承りますので、お気軽にご相談下さい(商品配送料は別途賜ります)。

感想文集

9/15(水) 民宿「じゃがいも亭」から自転車をかりて、フラリとやってきました。斜里には何度も来てますが、初めてここを訪れてみて、また斜里を好きになりました。
またきます。それまで元気でやって下さい。(東京 K)

8/21 母娘、二人旅の始まりに、こんな美術館に来れたことうれしく思います。
この館全体が、とても心地良く不思議に落ち着きます。
作品1つ1つ、個性があるのに何処か統一された感があり、やっぱり自然の色を愛す人だからですね。(大阪 ET)

8/26 いつか「アルプ」の精神を新たな形で受け継いだ山岳文芸雑誌が登場することを願わずにはいられません。(富山県 TO)

9/24 昨日、斜里岳に登り、今日は羅臼岳のつもりでしたが、天候不良の為、こちらへまいりました。ここは静かで、落ち着けます。アルプに目を通していると、時が経つのを忘れます。

流氷を少し見てきました。すべてがなつかしいです。
たぶん今どこかで流氷と接して居られると思うと胸が熱くなります。
しばらくですが、流氷と真向うつもりです。(EK)

9/17(金) 美術館の名前は存じ上げていましたが、来たのは初めてです。
何人かの人に「行ってくる」と言ったものの、みんなの反応は、「え、斜里に美術館なんてあるの?」と……。
想像と全然違う外観、展示作品に驚いています。
もっといろんな人に来てほしいです。(東京 K)

近くに住んでいながら、かかる奥深き空間の存在を知らず、今日、K氏のご案内にて拝見、感動いたしました。(女満別町 SH)

知床の帰りに寄りました。山登りをやっていて、なぜか哲学めいた気持ちになります。自然の美しさ、厳しさを教えてくれるもの、子供にも、これらを伝えていきたい。(北見市 HH)

入館者の記録・編集後記

集後記◆今年もおかげさまで無事にこの良き季節を迎えられましたことを、皆様にお礼申し上げます/最近「アルプ」がまた静かに注目を集めているよう/「山と渓谷」の特別企画をはじめ、JR北海道の情報誌などでも紹介されました/本を片手に訪れるお客様も増えています/美術館周辺の環境整備も継続中/美術館横の白樺林で深呼吸/心も体もリフレッシュできますよ(S)

  No.8 2000年6月発行(年1回)
  編 集:山崎 猛/山崎 忍/中村恭子 カット:桜井あけみ
                     発 行:北のアルプ美術館
  〒099−4114 北海道斜里郡斜里町朝日町11−2
  TEL O1522−3−4000/FAX3−4007


 

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