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  No.2  1994.6

●主な内容

  1. アルプの崇高な理念を守り語り伝える……
  2. 1年間の出来ごと
  3. 謳い崇めよアルプの讃歌を
  4. 古いピアノ
  5. 芳名帳より
  6. 入館記念絵葉書が新しくなりました

アルプの崇高な理念を守り語り伝える……

私は、イリオモテヤマネコとサンゴ礁の西表からシマフクロウと流水の知床まで25年間、全国の自然を愛する素敵な友人との数限りない出会いに育てられてきた幸福なパーニクレンジャーである。
大自然の宝庫知床では、飛び切り素敵な自然人が私を待っていてくれた。
その人は、22才の時「アルプ」誌と出会い自然への目を開かれ同誌から発せられる「自然への熱い精神(こころ)」を多くの人々に伝えたいと「北のアルプ美術館」を開館した山崎猛氏である。
私は紹介魔。環境問題専門家、老アルピニスト、自然派ギタリストなど多数を案内した。アルプ資料室で、串田孫一さんの“彼は案内してくれるだろう”という素適な絵が迎えてくれるが、自称副館長の私はこれからも山崎館長の“彼は紹介してくれるだろう”との期待に沿って、紹介魔振りを益々発揮したいと思っている。

知床国立公園ウトロ管理事務所 水野 隆夫

1年間の出来ごと

1993.7.12 北海道南西沖地震
   7.23 北海道新聞夕刊「今日の話題」にて紹介
   9. 8 入館者3,000人達成記念。東京都小平市鈴木伸介さんに記念品を贈る(東京経済大学図書館課長アルプの愛読者)
   9.24 週刊新潮9月30日号「秘蔵の一点」に掲載串田孫一像、西常雄作
  10. 6 斜里岳初冠雪
  10.14 北海道新聞「とっておきの旅」にて紹介
  10.20 荒賀憲雄山の詩集「霧の中に」詩稿及び挿入原画展
1994.2. 5 北のアルプ美術館収蔵串田孫一限定本と書簡類展示
   2. 8 知床半島へ流水接岸
   4.13 小さな古いピアノ到着
   4.27 木口木版画とデッサン画による「山の道具展」4月27日〜6月28日

謳い崇めよアルプの讃歌を


大谷一良さんの版画が高等学校国語の表紙に

今年もアルプの貴重な資料及び文献、絵画、版画と沢山の作品が収蔵されました。

※アルプ掲載の「北海道の山々」版画50点を一原有徳先生からご寄贈戴きました。

※斜里町出身(故)吉積長春(日本画)画伯の「宇登呂港」の作品を永井正様(東京)より、ご寄贈もあり一段と充実しております。

◎作品、資料、文献をご寄贈いただきました下記の方々に厚くお礼申し上げます。(敬称略)
串田孫一、大桐正典、畦地梅太郎、石井八重子
大谷一良、伊藤幸太郎、岡本寛志、手塚宗求
柵橋 元、田村 宏、熊谷 榧、内田友子
二木久栄、板倉登喜子、永野英昭、高澤光雄
鈴木伸介、山村正光、山室真二、田中清光
大高慶子、一原有徳、尾崎喜八研究会
(株)恒文社、森井書店、岩波書店

永井 正、坂井久光、新谷泰造、寺田周史
高橋光男、戸田幸夫、高澤 戟A門田順子
篠崎長滋、

土井雅子、西村銕次郎、荒賀憲雄
宮本敬之助、佐藤正美、中原佳雄、皆川忠義
矢部秀子、渋谷四郎、青野恭典、田中 良
中島敏枝、秋谷 豊、内海隆一郎、本田哲也
財団法人道銀文化財団
北海道立オホーツク流水科学センター

ご冥福をお祈り致します。(アルプ関係作家)
●島田 巽 ●庄野英二 ●内田 耕作

「古 い ピ ア ノ」

こういうピアノ初めて見ました。誰でもが云う小さな古いピアノ。
串田孫一先生ゆかりのピアノが、せんにん小屋から北のアルプ美術館に移ることになりました。
山崎館長のアルプと先生に寄せる強い憶いに、心打たれたからです。串田先生に御相談しましたところ、快い御返事をいただいたので雪の残る信濃の牧場から、流氷のまだ漂う北海道に旅立ちました。
三十数年前、先生のお宅にまいんべるくの仲間が集り、合奏したり唱ったりしたピアノでした。
ある時、尾崎喜八さんがアイルランド民謡の「西風の歌」を美枝子夫人の伴奏でお歌いになられたことがありました。
ボーイ・ソプラノの様な声で高音部に辿りついた時には、あのお齢で、ひっくり返られるのではないかしらと、ハラハラしたものでした。
ある冬の夜、ブロックフレーテの合奏をする事になり、串田邸のルンペン・ストオブを囲みました。
串田先生が、このピアノのGの音をボンと叩いて、これでいいかな、などと申され、ブロックフレーテの音合せをしたこともありました。
その折、齢老いた措がテーブルの上を悪戯したので、美枝子夫人が「イイ齢をして!!」と叱ったところ、島崎敏樹先生がビクッとなさって、笛のうたくちの下の部分を落されたことも愉しい憶い出になっています。
あの頃、先生はじめヘビー・スモーカーが多く、山田牧場に届いた時には、ピアノの汚れを落すのに三枚の白いタオルは茶色に染りました。
雄描のオシッコの跡は、どんなに拭いても落ちず今もそのままです。
先生のお孫さんの葵さんがすっかり大きくなられて、せんにん小屋を尋ねられた折、幼児の頃このピアノの鍵盤に皮むきのバナナを低音から高音迄、なすり込んで叱られたことがあったとか。
懐しみいとおしんでド・レ・ミと音を拾ってから、モーツァルトのロンドを奏で、山小屋のペチカから煙突ヘ音が流れていったこともありました。
たくさんの串田邸での出来事を識っている古いピアノ。
北のアルプ美術館で、大切に保存されることになって悦こんでいます。
またいつの日にか、すっかり白髪になったり禿たりした仲間が集って、串田先生作詞作曲の「赤い毛糸の帽子」を、このピアノで唱うことを希って。

1994年4月  山田牧場にて 大高 慶子

芳名帳より


入館記念絵葉書が新しくなりました

北のアルプ美術館入館記念絵葉書が新しくなりました。
大谷一良さんの版画「オホーツクの流氷」から永野英昭さんの淡彩画斜里岳に……
永野英昭さんの絵葉書「北の旅から」の斜里岳の絵柄を使用させていただきました。




 

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