企画展　直筆原稿展内容　北のアルプ美術館

「アルプ」に集う作家たち　－直筆原稿展

山の芸術誌と云われたアルプはどんな雑誌だったのだろうか・・・


自然への尊厳と愛を詠んだアルプの直筆原稿が語りかけてくれます。

この直筆原稿からアルプ作家の情感溢れた個性を感じてもらいたい

９１号	1965. 9	深田　久弥	谷二つ	２２１号	1976. 7	青柳　健	オーロラの舞う山
９２号	1965.10	丸山　薫	砂山を越えれば	２４３号	1978. 5	富士川　英郎	尾崎喜八氏の手紙
９５号	1966. 1	中河　与一	明神　明星	２７７号	1981. 3	三田　幸夫	槍沢の下り
１００号	1966. 6	上田　哲農	稚き日の山	２７９号	1981. 5	三田　幸夫	雪の天筈山
１００号	1966. 6	辻　まこと	多摩川探検隊	２９８号	1982.12	山本　太郎	寒い風景
１１３号	1967. 7	高田　博厚	フランスの野山	３８号	1961. 2	曽宮　一念	旅の記憶(一）
１３２号	1969. 2	結城　哀草果	山に親しむ	７８号	1964. 8	曽宮　一念	遠州砂丘
１４７号	1970. 5	宮本　常一	山の湖	１００号	1966. 6	田渕　行男	雪型深し
１５８号	1971. 4	河田　槙	雀のお宿	１４７号	1970. 5	更科　源蔵	神のいる湖
１６７号	1972. 1	武田　泰淳	山麓日記抄	１６３号	1971. 9	島崎　蓊助	木曽谷私記
１６８号	1972. 2	手塚　富雄	松本平の冬など	１６４号	1971.10	一原　有徳	オロフレ峠
１７１号	1972. 5	一原　有徳	美笛高地	２１５号	1976. 1	堀内　幸枝	山の村
１８９号	1973.11	岩科　小一郎	柳田学少々	２１８号	1976. 4	若松　流二	兄と私
１９８号	1974. 8	堀　淳一	湧洞沼冬景	２７５号	1981. 1	畦地　梅太郎	わしの昔のお正月
２０１号	1974.11	寿岳　文章	久しぶりの東山	２８１号	1981. 7	国松　俊英	五人のお客
２１４号	1975.12	西丸　震哉	兄との交信	他、多数の作家たちの原稿を展示

アルプを彩った作品たち
山からの絵本　　辻まこと・詞　　山下瀧雄・曲
		「すぎゆくアダモ」原稿より辻まこと

小谷　明　・　羊の群がやってきた（水彩スケッチ）		山室眞二　・　受難の金曜日　（芋版画）
山室眞二　・　山頂（ジャン・ジオノに）　　（芋版画）
栗田政裕　・(版画）		串田孫一　・　思考の飛散（絵）

「アルプ」創刊号　1958,2 　　　　　　　　　　　-編集室から- 　ここに創刊された「アルプ」の性格については、私どもは何も宣言しない。ただ、雪線近いその草原が、人の住む町の賑わいから遠く静まっているように、「アルプ」もいわゆる雑誌の華やかさや、それに伴う種類の刺戟性などからは距ったものだとは言えるし、自から願っている方向も決まっている。＊ここよりもなお高い山へ進み、山から下って来たものが、荷を下ろして憩わずにはいられないこの豊饒な草原は、山が文学として、また芸術として燃焼し結晶し歌となる場所でもあると思う。従って高原逍遥のみに満足する趣味を悦んでいるものでもない。　　　　　　　　　　　－串田－		北のアルプ美術館・前庭「子供の情景・響き」ブロンズ・鈴木吾郎　作
表紙のカット「アルプ」３００号より大谷一良（木版画）		「アルプ」終刊号　1983.3 　　　-編集室から- 　25年前に「アルプ」創刊の短い言葉を書いた時も、今夜と同じように冬の星々が冴えていた。悦びと誇りとを極力抑えて殊更に何も宣言しなかった。今は内に秘める感情も自ら異なるが、幾らかの含羞の笑みを残して静かに編集室の扉を締めよう・・・　　　　　　　　　　　　　－串田－
― アルプが語り残したものを次の世にまでも伝えたい― 　この願いが、荒れ果てた草原に今、豊饒なアルプの風が吹き渡り、草花が柔らかな蕾みを膨らませつつある。迷い、悩み、苦しみ、そして歓ぶ時、いつも思い出して考える一節がある。それは、アルプの創刊号と終刊号の、あとがき「編集室から」の串田先生の文章であった。その言葉は「北のアルプ美術館」が在る限り不変である。それは、過ぎ去った事ではなく、私には新しい「道しるべ」であるのかもしれない。


尾崎喜八	串田孫一	辻　まこと	畦地梅太郎
鳥見迅彦	大谷一良	山口耀久	曽宮一念
田渕行男	更科源蔵	西　　常雄	庄野英二
草野心平	手塚宗求	岡部牧夫	中村朋弘
熊谷　　榧	｢アルプ」に集う人々 -　直筆原稿展　－		朝比奈菊雄
吉行理恵			今西祐行
浦松佐美太郎			伊藤信吉
直良信夫			杉本賢治
近藤弘明	堀多恵子	宗　　左近	山崎正一
山室　　静	藤森栄一	今井雄二	中村雄二郎
古井由吉	石垣りん	富士川英郎	滝平二郎
山本太郎	深沢紅子	真壁　　仁	尾崎実子
一原有徳	中平郁子	宇部宮貞子	西丸震哉
遠藤善之	深田久弥	丸山　　薫	中河与一
上田哲農	高田博厚	宮本常一	河田　　槇
武田泰淳	手塚富雄	岩科小一郎	堀　　淳一
寿岳文章	青柳　　健	三田幸夫	堀内幸枝
島崎蓊助	川崎精雄	永野英昭	土方久功
皆川達夫	田中清光	鷹野照代	岡本寛志
岸田衿子	島崎敏樹	重本恵津子	池内　　紀

「アルプ」創刊号　1958,2 　　　　　　　　　　　-編集室から- 　ここに創刊された「アルプ」の性格については、私どもは何も宣言しない。ただ、雪線近いその草原が、人の住む町の賑わいから遠く静まっているように、「アルプ」もいわゆる雑誌の華やかさや、それに伴う種類の刺戟性などからは距ったものだとは言えるし、自から願っている方向も決まっている。＊ここよりもなお高い山へ進み、山から下って来たものが、荷を下ろして憩わずにはいられないこの豊饒な草原は、山が文学として、また芸術として燃焼し結晶し歌となる場所でもあると思う。従って高原逍遥のみに満足する趣味を悦んでいるものでもない。　　　　　　　　　　　－串田－		北のアルプ美術館・前庭「子供の情景・響き」ブロンズ・鈴木吾郎　作
表紙のカット「アルプ」３００号より大谷一良（木版画）		「アルプ」終刊号　1983.3 　　　-編集室から- 　25年前に「アルプ」創刊の短い言葉を書いた時も、今夜と同じように冬の星々が冴えていた。悦びと誇りとを極力抑えて殊更に何も宣言しなかった。今は内に秘める感情も自ら異なるが、幾らかの含羞の笑みを残して静かに編集室の扉を締めよう・・・　　　　　　　　　　　　　－串田－
― アルプが語り残したものを次の世にまでも伝えたい― 　この願いが、荒れ果てた草原に今、豊饒なアルプの風が吹き渡り、草花が柔らかな蕾みを膨らませつつある。迷い、悩み、苦しみ、そして歓ぶ時、いつも思い出して考える一節がある。それは、アルプの創刊号と終刊号の、あとがき「編集室から」の串田先生の文章であった。その言葉は「北のアルプ美術館」が在る限り不変である。それは、過ぎ去った事ではなく、私には新しい「道しるべ」であるのかもしれない。